インドネシアコーヒーにまつわるうんちく

なぜインドネシアはロブスタ大国なのに世界評価はアラビカ?USDAデータから読み解く理由

インドネシア=ロブスタ大国。
でも世界の“高評価コーヒー”というと、なぜかアラビカ中心。個人的に、ずっと気になっていました。

今回は実際にUSDA(米国農務省)の公式レポートを読んでみて、
「なるほど、こういう構造か」と自分なりに整理した内容です。


■ インドネシアは本当にロブスタ大国なの?

インドネシアはロブスタ種とアラビカ種どっちが多く生産されていると思いますか?

USDAの統計では、
インドネシアのコーヒー生産の約85%以上がロブスタという推計が出ています。全体の15%としかアラビカ種が生産されていないと思うとかなりイメージとの相違を感じたのではないでしょうか。

参照)USAD資料抜粋


では、なぜインドネシアはロブスタ種が中心になったのか、その変遷を調べていきましょう。


■ なぜインドネシアはロブスタ中心なのか?

① 気候と地形の相性

まずは気候と地形の相性です。ロブスタは低地・高温多湿に強い品種。

インドネシアは島国で、
高地もありますが、広い低地も多い。

小規模農家が多い環境では、

・病害に強い
・収量が安定しやすい
・栽培難易度が比較的低い

こういった特性がかなりキーポイントになります。
そもそもコーヒー豆が確実に収穫できないと、農園の経営が成り立たないのです。最重要なことはの話ではなく、育てられる環境にあったコーヒー豆なのかということなのです。


② 安定収量=生活を守れる

先ほども言及しましたが、農家にとって最も大切なのは、毎年安定して収穫できることです。

一般的にロブスタ種は、アラビカ種と比べて病害に強く、気候変動の影響を受けにくく、収量が安定しやすいとされています。そのため、インドネシアのような高温多湿の環境では、ロブスタ栽培が合理的な選択になりやすいのです。

結果として、安定収入を維持しやすいロブスタ種の農園が増え、インドネシアはロブスタ中心のコーヒー生産国へと発展していきました。


■ では、なぜ世界評価はアラビカ中心なのか?

ここが一番誤解されやすい部分。

世の中の高級、高価なコーヒー豆にアラビカ種が多い理由はなんなのでしょうか?この歴史について深堀してみましょう。

① スペシャルティ市場の主役がアラビカだった

コーヒーの品評会や評価制度は、長年アラビカを基準に発展してきました。その結果、

高価格帯市場=アラビカ

という構造が形成されていったと考えられています。これはロブスタ種が劣っているからというわけではなく、コーヒーに関する歴史の流れに起因するところが多いんですね。

② 高価格 → 投資 → さらに評価される というビジネスモデル

次に歴史の変遷を含めたうえで、ビジネスモデルを考えていきましょう。アラビカ種はロブスタ種と比較し希少であるものの高価な価格で取引されていました。

このような背景からビジネスモデルとして利益が確立しやすかったことが、アラビカ種が世界に広がっていった理由として挙げられます。

一方ロブスタは長年、大量消費・ブレンド用途というポジションに置かれてきました。

でもこれは「安いからダメ」ではなく、市場の変遷の結果なんです。


■ 逆にアラビカ中心の国は?

ところで、インドネシアはロブスタ中心の栽培がおこなわれていることはわかりました。それでは、アラビカ種が生産の主体となっている国はどこなのでしょうか。

代表的なのは次の国々です。

・コロンビア(ほぼアラビカ)
・エチオピア(ほぼアラビカ)
・グアテマラ
・コスタリカ
・ブラジルの高地エリア

これらの国には共通点があります。それは、標高が高く、冷涼な気候を持つエリアが広いことです。アラビカ種が生産量に関しては、地理的要因がかなり重要だということがわかりますね。

■ それでも、インドネシアのロブスタは面白い

これまでコーヒー市場では、華やかな酸味や香りを持つアラビカ種が高く評価され、注目を集めてきました。

しかし、コーヒーの魅力は酸味だけではありません。

インドネシアで多く生産されているロブスタ種は、重厚なボディとしっかりした苦味ダークチョコレートのようなコク、そしてスモーキーな余韻が特徴です。

特にエスプレッソや深煎り、ミルクと合わせるスタイルでは、その力強さが大きな武器になります。

近年は「Fine Robusta(高品質ロブスタ)」という概念も広がり、品質向上とともに再評価が進んでいます。

アラビカだけでなく、用途や好みに合わせてロブスタを楽しむことこそ、インドネシアコーヒーの本当の魅力ではないでしょうか。


■ まとめ

USDAの統計によれば、インドネシアのコーヒー生産の約85%以上がロブスタ種です。ロブスタ中心の構造は、気候への適性や収量の安定性といった経済合理性によって形づくられてきました。

一方で、世界市場ではアラビカ種が高く評価されてきましたが、それは市場の歴史や価格形成の流れによるものです。決して「アラビカ=高級、ロブスタ=安い」という単純な構図ではありません。

重厚なボディと力強い苦味を持つインドネシアのロブスタは、特に深煎りやエスプレッソを好む人にとって魅力的な選択肢です。アラビカとロブスタだけで語るのではなく、その背景や用途まで含めて考えることで、インドネシアコーヒーの本当の面白さが見えてきます。