インドネシアのコーヒーといえばマンデリンやトラジャが有名ですが、もっとローカルでユニークな存在が Kopi Joss(コピ・ジョス)。
日本ではまだ知る人ぞ知るコーヒーですが、ジョグジャカルタの夜屋台を象徴する一杯として長年親しまれています。
この記事では、Kopi Jossの魅力を 「どんなコーヒーなのか」「名前の由来」「味わい」「屋台文化との関わり」「注文から飲むまでの流れ」 といった切り口で解説します。
Kopi Jossとは?|ジョグジャカルタ屋台名物の炭入りコーヒー
Kopi Jossは、インドネシア・ジョグジャカルタで屋台を中心に提供される炭入りコーヒーです。
ベースとなるのは、インドネシア庶民の味「Kopi tubruk(コピ・トゥブルック)」。挽いた豆と砂糖をカップに入れてお湯を注ぐシンプルなつくりですが、ここに真っ赤に焼けた炭を「ジュッ」と沈めるのが最大の特徴です。
炭が入る瞬間、立ちのぼる煙と音で屋台が一気に賑やかになり、これこそジョグジャカルタでしか味わえない体験と言えるでしょう。

Kopi Jossの名前の由来
Kopi Jossという名前には2つの説があります。
- 炭を入れるときの「ジョス!」という擬音から来たという説
- インドネシア語の俗語「jos(熱い・勢いがある・最高)」から来たという説
どちらにしても「熱々で勢いのあるコーヒー」というニュアンスが込められており、地元らしい遊び心を感じます。日本語でも「じゅわ」とかいったりするのでそのイメージなのかもしれません!!
Kopi Jossの味わい
見た目のインパクトに反して、味は意外とまろやかです。
- 苦味が和らいで飲みやすい
- 砂糖の甘さが際立つ
- 炭由来のスモーキーな香りがアクセント
夜の屋台で軽食と一緒に飲むと、よりいっそう雰囲気を楽しめます。
誕生の背景|なぜ炭を入れるようになったのか?
Kopi Jossは1970年代のジョグジャカルタで誕生したといわれています。
ある屋台の店主が、常連客の胃の不調を気遣って炭を入れたのが始まりとされており、当時は「炭を入れると胃に優しい」と信じられていました。
もちろん医学的に確かな根拠があるわけではありませんが、炭には不純物を吸着する働きがあるため、昔の人の知恵として受け継がれてきた背景があります。
ジョグジャカルタの屋台文化とKopi Joss
Kopi Jossは単なるコーヒーではなく、ジョグジャカルタの夜屋台文化を象徴する存在です。
夜になると屋台(アングリンガン)が立ち並び、学生や仕事帰りの人々が集まります。軽食をつまみながらコーヒーを片手に語り合う光景は、まさに現地の日常。
Kopi Jossは、その場を温めるコミュニケーションツールとして機能しています。
「ジョグジャカルタの夜を楽しむなら、まずKopi Jossから」という言葉があるほどです。
どこで飲める?|現地でしか味わえない特別な一杯
Kopi Jossは基本的にジョグジャカルタの屋台で楽しむコーヒーです。
観光都市で再現されることはありますが、本場の雰囲気と味を感じられるのはジョグジャカルタの夜屋台ならでは。
旅行の思い出に残る体験として、ここで飲むからこそ価値がある一杯です。
注文から飲むまでの流れ
- 店主がトングで真っ赤に焼いた炭を取り出す
- コーヒーに炭を投入すると「ジュッ!」と音と煙が広がる
- 数分待ってから飲み始める
炭の扱いは屋台や人によって違います。
炭を取り除いてから飲む人もいれば、そのまま沈めたまま飲む人もいます。注文時に好みを伝えるとスムーズです。
旅のコツ|Kopi Jossをより楽しむために
- 夕方から夜に訪れると、屋台と路上演奏で雰囲気が最高潮
- サテや揚げ物、ナシ・クチンなどの軽食と合わせるのがおすすめ
- 写真を撮るなら炭を入れる瞬間がベスト。店主に一声かけてから撮影すると喜ばれます
- 甘さは調整可能。砂糖控えめで頼んでも十分楽しめます
まとめ
Kopi Joss(コピ・ジョス)は、ジョグジャカルタの夜屋台文化が生んだ炭入りコーヒーです。
音と香り、そして人とのつながりを感じられる体験型のコーヒーであり、ここでしか味わえない特別感があります。
コーヒー好きはもちろん、ジョグジャカルタ旅行で「現地らしい文化を体験したい」という人には、ぜひおすすめしたい一杯です。