コーヒーの話になると、ほとんどの場合は 「アラビカ種」か「ロブスタ種」 のどちらかで語られます。
実際、世界の流通量のほとんどはこの2つなので間違いではありません。
でも――
もしあなたがインドネシアコーヒーを深く知りたいなら、
この2種類だけで終わらせるのは、正直もったいないです。
実はコーヒーには、それ以外の“種(species)”が存在します。
流通量は少ないですが、知っているだけで視野が一段広がる世界。
今回は、アラビカ種・ロブスタ種以外のコーヒーを、
インドネシアとの関係も含めてわかりやすくまとめます。
まず整理:「種」と「品種」は違う
混同されがちなので、ここだけ簡単に整理します。
- 種(species)=アラビカ、ロブスタ、リベリカなどの“大分類”
- 品種(variety)=ゲイシャ、ティピカなど“アラビカの中の違い”
今回のテーマは、種(species)の話です。

リベリカ種(Liberica)|大きくて、強くて、クセがある

■ 味の印象
リベリカはよく、
- スモーキー
- ウッディ
- 熟した果実のような発酵感
と表現されます。アラビカの「透明感」や「繊細さ」とは真逆の方向。
香りの主張が強く、クセがあります。
正直、好き嫌いは分かれます。
でも――
ハマる人は本当にハマる。
ワインで言えば、ナチュラル系や熟成感のあるタイプが好きな人には刺さりやすい印象です。
■ 特徴
- 豆(種子)がとにかく大きい
- 樹も高く育ちやすい
- 高温多湿環境に比較的強い
- 香りがかなり個性的
見た目からして、アラビカとは違います。
粒の大きさにまず驚きます。
■ インドネシアとの関係
インドネシアではリベリカ種は主流ではないものの、スマトラ島ジャンビ州などで栽培されています。高温多湿の環境に比較的強く、粒が大きくスモーキーで個性的な風味が特徴です。地域名と結びついたリベリカもあり、多様なコーヒー文化を支える存在です。
エクセルサ(Excelsa)|軽やかさと奥行きのバランス

エクセルサは、現在はリベリカの近縁グループとして扱われることが多い存在です。
■ 味の特徴
- 明るい酸味
- フルーティーなニュアンス
- 後味にロースト感や深みが残る
つまり、
「軽やかなのに、薄くない」
この表現がしっくりきます。
単体で飲まれることもありますが、
ブレンドで“香味の層”を作る役割として使われることも多いです。
ステノフィラ(Stenophylla)|未来のコーヒー候補

近年、研究分野で再び注目されているのがステノフィラです。
なぜ注目されているのか。
理由はシンプルです。
- 高温環境に比較的強い
- それなのに、味がアラビカに近い可能性がある
地球温暖化の影響で、
アラビカ栽培に適した地域は今後減少すると言われています。
その代替候補として、ステノフィラが研究対象になっています。
まだ商業流通はほとんどありません。今すぐ一般市場で買える豆ではありません。ただし、「未来の選択肢」としては非常に重要な存在です。
なぜ“第三のコーヒー”は広まらないのか?

ここは現実的な話です。
- 生産量が安定しにくい
- 栽培効率が悪い
- 病害への耐性が限定的
- 味の個性が強く、市場評価が安定しない
結果として、
品質が安定しやすく、扱いやすいアラビカが主流になりました。
でも、世界が変われば評価も変わる可能性があります。
気候条件や消費者の好みが変われば、
これらの“第三勢力”が再評価される可能性もあります。
インドネシアにおける他種の現状

インドネシアは、
- ロブスタ大国
- アラビカは地域ごとに個性が強い
- そして少量ながらリベリカも存在
つまり、多様性の国です。
第三のコーヒーを知ることで、
スマトラやカリマンタン、その他の地域の見え方は大きく変わってきます。
以前、インドネシアのコーヒー流通業者を訪れたことがあります。
倉庫に並ぶ麻袋には、アラビカ種、そしてロブスタ種の表記がずらりと並んでいました。やはり流通の中心はこの二つなのだと、現場であらためて実感しました。
しかし同時に、現地で話を聞く中で、それ以外の存在――リベリカ種のようなコーヒーが確かに栽培され、地域によっては独自の文化を形づくっていることも知りました。表舞台にはあまり出てこないものの、確実に根を張っている“もう一つのコーヒー”です。
流通の現場を見るからこそ見えてくる主流と、その裏側にある多様性。
今後はアラビカとロブスタだけでなく、リベリカ種をはじめとする第三のコーヒーにも目を向け、インドネシアという国の奥行きをより深く掘り下げていきたいと思っています。
まとめ

コーヒーはアラビカとロブスタだけではありません。リベリカ、エクセルサ、ステノフィラなどの存在を知ることで、インドネシアコーヒーの奥行きは一気に広がります。
流通量は少ない。
でも、文化的・未来的な価値は高い。
だからこそ、
知っている人はちょっと強い。
次にインドネシアコーヒーを語るとき、
ぜひこの“第三の豆”の話も混ぜてみてください。
きっと、コーヒーの見え方が少し変わるはずです。