インドネシアで友だちとコーヒーの話をしていたときのことです。
ふと「カフェオレって知ってる?」と聞いたら、みんな首をかしげて知らない様子。
でもすぐに「それってKopi Susu(コピ・スス)のことじゃない?」と笑いながら返されました。
つまり、現地の人にとってはカフェオレ=Kopi Susu。
日本やフランスでは当たり前に知られている「カフェオレ」という言葉が、インドネシアでは浸透していないのは、そもそも同じような飲み物が日常に根付いていたからなんです。
ただ、ここで湧いてきたのは「本当にカフェオレと同じなのか?」という疑問。
実際に飲み比べてみると、そこにはインドネシアらしく進化した新しい形のカフェオレ=Kopi Susuがありました。
Kopi Susuとは?現地でいう“牛乳入りコーヒー”
インドネシア語で「susu」は牛乳のこと。
だからKopi Susu=コーヒー+牛乳という、とてもシンプルな意味になります。
日本人旅行者の多くは「練乳が入った甘いコーヒー」をイメージしがちですが、実際にはちょっと違うんです。
色々と調べてみると「Kopi Susu=練乳を入れる」と書かれている記事も多いですが、現地の感覚だとそれはKopi Susuそのものではない気がします。
牛乳を入れたコーヒーがKopi Susu。
練乳を加えたものは「Kopi Susu Kental Manis」や単純に「甘いコーヒー」として区別されることが多いです。
つまり、牛乳とコーヒーを混ぜるのがKopi Susuの基本形なんですね。

トゥブルックと一緒にするのか?
では伝統的な淹れ方「Kopi Tubruk」との関係はどうでしょうか。
必ずしも「Kopi Susu=トゥブルックに牛乳を入れたもの」とは限りません。
ありえるスタイルとしては、トゥブルック形式で淹れた濃いコーヒーに氷を加えて、そこに牛乳を注ぐ形です。
インドネシアは一年中暑いので、この“アイストゥブルック+牛乳”の組み合わせは自然に受け入れられていると思います。
この形こそが、現地で根づいているKopi Susuの一つの姿だと感じます。
練乳入りはまた別の存在
確かに「Susu Kental Manis(甘い練乳)」はインドネシアでとても身近で、屋台や家庭でも長く使われてきました。
冷蔵いらずで保存できるので、コーヒーに入れるのは理にかなっているんです。
でも、現地の感覚だと練乳入りはKopi Susuとは別物。
あくまで「Kopi Susu Kental Manis」や「甘いコーヒー」として楽しまれるカテゴリーです。
旅行者からすると「Kopi Susuを頼んだら甘すぎてびっくり!」という体験は、この練乳バージョンを出された可能性が高いんですよね。
だから、牛乳ベースと練乳ベースの違いを知っておくと安心です。
実際のインドネシアKopi Susuとは?
こっちで一番よく飲まれているのは、やっぱりアイスカフェオレ的なKopi Susuです。
ホットもありますが、やっぱり暑い国なので冷たいスタイルのほうが圧倒的に人気。
作り方としては、濃いめに淹れたコーヒーに牛乳を注ぐ。
場合によってはクリーマー(粉末や液体のミルク代用品)を使うこともあります。
そこに砂糖やパームシュガーを足して、氷で仕上げれば完成です。
そして重要なのは、インドネシア産コーヒー豆との相性。
マンデリンやトラジャのようなコクのある豆は、牛乳やクリーマーとの相性が抜群。
苦味と甘みとコクが混ざり合って、インドネシアらしい味わいになるんです。
だからKopi Susuは、単なる「カフェオレのコピー」ではなく、インドネシアコーヒーとミルクが織りなす最高の関係で生まれた一杯なんだと思います。
その意味では、フランス式のホットカフェオレとは少し違う存在。
インドネシアの気候や文化に合わせて進化した“新しいカフェオレ”が、このKopi Susuなんです。
そして日常の中では、食後の一杯や、おやつ代わりのドリンクとしても楽しまれています。
ローカル屋台でも、カフェでも、美味しいKopi Susuには簡単に出会えるのが魅力です。
まとめ|インドネシア流カフェオレ“Kopi Susu”を楽しもう
インドネシアはマンデリンやトラジャ、ガヨなど世界的に知られるコーヒー豆の宝庫。
その飲み方は無限にありますが、その中でも最も浸透しているのがKopi Susuです。
牛乳やクリーマーを加えたシンプルなスタイルなのに、インドネシアコーヒーの力強さと見事にマッチする。
だからこそ、屋台からカフェまで、どこでも愛される一杯になっています。
僕自身まだ現地で調査中ですが、日本でも簡単に試せると思います。
特にアイススタイルのKopi Susuなら、濃いめのコーヒーに牛乳を注ぐだけでそれらしい味わいが出ます。
この記事を読んだみなさんも、ぜひ「アイスカフェオレ」ではなく、インドネシア流のKopi Susuを意識して作ってみてください。
きっと、同じ「コーヒー+ミルク」でも、インドネシアの空気を感じられる一杯になるはずです。


